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プロネーション、オーバープロネーション、スピネーションとは?

プロネーション、オーバープロネーション、スピネーションとは?

2020年6月09日

WHAT IS PRONATION, OVERPRONATION AND SUPINATION?
プロネーション、オーバープロネーション、スピネーションとは?

プロネーション(回内)やスピネーション(回外)とは、健康な足や足首に生まれつき備わった欠かせない機能です。足は正に精巧な装備が集結しています。走ったり歩いたりするとき、足首は自然と外側や内側に倒れるように作られています。そして動作スキルがその人の骨格も決定づけています。つまり、あなたはあなたの動きそのものでできているのです。健康的に機能する足や足首にとって、プロネーションやスピネーションは、衝撃を吸収し、体を安定させるために必要なメカニズムです。

プロネーションとランニングシューズの関係性は?

ランニングシューズを買うなら、地元のランニングショップに行き、店員さんに走り方の癖をチェックしてもらい、足のタイプやプロネーションのレベルに適した靴を選んでもらいますよね。しかし、果たしてプロネーションを制御することが、ランニング障害の予防につながるのでしょうか? 2010年にNikeの資金提供により実施された調査では、「足のタイプ別にモーションコントロール用インソールを処方する今日のアプローチは、過剰に単純化されており、故障を招く可能性を含んでいる。」と述べ、さらに「モーションコントロール付きの靴でトレーニングしたプロネーション傾向の強いランナーは、全員ランニング障害を発症したのに対し、ニュートラルな靴を履いていた同じ傾向を持つランナーでは2名しか故障しなかったという事実は注視する必要がある。」(1)と述べています。つまり強いプロネーション傾向を持つランナー全員が、それを制御する靴を履いたことで足を痛めていたというショッキングな報告だったのです。プロネーションコントロールは解決策にはなりません!2015年のリサーチでは、「モーションコントロールとランニング障害との因果関係はまだ証明できていない。」としつつも、「しかし、この40年間の技術進歩にも関わらず、ランニング障害の発生率はほとんど変化していない。」と報告しています(2)。

プロネーションとスピネーションは自然な動きとは言え、その正常な範囲とは?

プロネーションとは荷重の外側から内側へ移動のことです。体の重心が内側へと移動するなら、プロネーション(回内)しています。体の重心が足の正中心より内側にある時点をプロネーションと定義します。立ち上がって足首を内側へ倒して、プロネーションを感じてみてください。歩いたり走ったりするときに、プロネーションは足の衝撃吸収メカニズムとして欠かせないものです。これによって、足は可動アダプタになります。

スピネーションはプロネーションと逆の動きです。重心の内側から外側への移動をスピネーションと定義します。重心が外に向かっている間はスピネーションしています。スピネーションは体の重心が足の正中心から外側にある状態です。立ち上がり足首を外側に倒してスピネーションを感じてみてください。歩いたり走ったりするときに、スピネーションは足を安定させるメカニズムとして欠かせないものです。これによって、足は頑丈なてこ(レバー)になります。

プロネーションやスピネーションは自然に備わった動きとはいえ、複雑で躍動的な機能です。歩行時は、体はかかとから母趾に向かって足の上を移動します。同時に体重は足の正中心から内側にも外側にも移動します。足の正中心を軸に体の重心バランスを取るには、足首と足、そして足指が強く、また自由に動かせることが必要です。この強度や可動域が足らない場合、体の重心が母趾の内側へと回内するオーバープロネーションや、体重が足の外縁にかかるオーバースピネーションが起こります。

自然なスキルとテクニックを使って歩くと、体重が足の上を移動する際にプロネーション(回内)とスピネーション(回外)が起きています。まずスピネーションの体勢で、かかとの線中心から外側だけが接地します。そして、衝撃を吸収するためにプロネーションの方向へ、つまり重心が内側へと移動します。これによってスムーズなヒールストロークが可能になります。始めはかかとから小趾球(第五趾のつけ根)が地面につくまで回外し、母趾球まで足指のつけ根を横切るように重心が内側へ移動した後、最終的に母趾と第二趾で地面を蹴り出して足が地面から離れ、また重心が外回り方向へとスピネーションします。

自然なプロネーションとスピネーションとは、足の縦の中心線に対して体重が内側や外側へ移動することです。地面を蹴り出すとき、体重の半分は母趾にかかり、残りは四趾に分散されます。ヒトの足は正に生体力学を集約させた成果とも言えるでしょう。

歩行時の重心移動を示した図

オーバープロネーション オーバースピネーション

かかとが接地するとき、体の細かな動きの組み合わせによってプロネーションが発生しています。かかとの骨が地面を前転するとき、脛骨(すねの骨)は内転しながら、かかとよりも前方に移動します。もし弱体化した足首や足の筋肉のせいで、または高いヒールや狭いつま先の靴などが原因で、これらの動きが制御できずに過剰になると、足首が過度に回内するオーバープロネーションという状態になります。つまり、過度に体重の重心が内側にかかっている状態です。オーバープロネーションはかかとやアーチ、足指のつけ根など一般的な足の痛みを引き起こしたり悪化させたりするだけでなく、腱膜瘤や神経腫、すねや膝、股関節および背中の痛みの原因にもなりかねません。

隔世遺伝性中足症(Metatarsus Atavicus 足の第一趾の中足骨(足首と足指の間の骨)の長さが第二趾の中足骨より短く、ときにその可動域が広すぎる場合、つまり母趾が柔らかすぎて足を十分に安定させることができない場合、オーバープロネーションになる傾向が高まります。母趾と第二趾の両方のつけ根ではなく、母趾球のみに重心がかかりやすいためです。このオーバープロネーションのパターンは足裏が外方向に開いて、対してひざが中に入りやすくなります。股関節のアライメントや臀部の筋肉の影響もあり得ますが、靴を変えることで体の動作も変えられます。そして動作によってあなたの体の形状も変わります。

母趾が第二趾より短い(モートン足)のは遺伝の場合もあります。隔世遺伝中足症(Metatarsus Atavicus)1927年にダドリー・モートン氏によって名付けられました(3)。モートン氏は、これは潜在的に遺伝するもので、しかも隔世遺伝し、チンパンジーの足の特徴でもあり、つま先の狭い靴が痛みや機能不全の原因になり、靴と動作は足の骨やその機能の形成に影響を与えると推測しました。モートン足の特徴を持つ人は、足に故障を抱えやすいことも分かっています。モートン足は外反母趾になりやすく、最終的には腱膜瘤やモートン神経腫(モートン病とは別のモートン氏によって命名)を発症することもあります。繰り返しになりますが、私たちは靴が足のトラブルを誘発していると確信しています。モートン足の人でもつま先が幅広な靴を履いている人は、これらのトラブルを経験することが少ないようです。靴のトゥボックスが広ければ、母趾も(内在筋も表層筋も)より強くなり、直立時や歩行時のスキルも向上し、故障を回避することに役立つでしょう。裸足で暮らす人々には、このような障害はめったに見られないからです。

(4)チンパンジーとヒトにおける母趾球と第二指のつけ根の位置の違い

足首が硬くて可動域も狭い場合、足はスピネーションをし続け、重心が足の外側だけを移動します。硬い足首と硬いアーチ、さらに中足部のプロネーションが制限されている条件が重なると、小さくて繊細な骨が詰まっている足の外縁のみに全体重が集中し、外側の足指だけで地面を蹴りあげることになります。硬くて高いアーチは、母趾球を通じて荷重を受け取る動きができません。これにより過剰なスピネーションとなり、中足骨の疲労骨折にもつながり、足や足首、ひざの筋肉や靭帯に負担をかけ、股関節や背中の痛みなどの要因にもなります。

左図のチンパンジーの足はオーバースピネーションを示す例。体重は足の外縁にそって移動する。
右図のヒトの足は、自然なプロネーションとスピネーションを示している。

靴はオーバープロネーションやオーバースピネーションを解決するか?

幅広のトゥボックスは五指を自由に広げることができ、路面の状態に合わせて体の重心も正しく移動させることができます。足指が狭いトゥボックス内に押し込められた状態では、過度に重心が内側にかかるオーバープロネーションか、または逆に回外するオーバースピネーションのいずれかになる可能性が高まります。

靴のつま先がせり上がったトゥスプリングも足の機能に干渉します。つま先が地面に着いていなければ、足指がスタビライザーとして機能することも、母趾がアンカー(錨)になることも妨げてしまいまいます。厚底のクッションヒールは、過度にストライドを大きくさせ、かかとのさらに後部で着地することになり、着地の衝撃を増大させます(5)。ストライドが大きくなるほど、足からひざにかけての衝撃も強くなるため、ランニング時は特に問題です。靴のクッション性にかかわらず衝撃は増大しています。かかとの分厚いクッションソールによって、動作のパターンが変わり、クッションが衝撃を打ち消す以上にそれを増大させてしまっているのです。幅広で極薄、そして柔らかい靴によるベアフットの動きなら、このような負荷をかけることはありません。

Vivobarefootでは、歩行やランニングに必要な機能はすべて足に備わっていると信じています。たとえオーバープロネーションでもオーバースピネションでも、すべての人に例外なく再び足とつながることを提唱します。Vivobarefootの靴なら、着地時のインパクトについて、より詳しい情報を体に伝達することができます。バランスのとれた巧みな動作を行うことができるようになり、怪我のリスクを軽減し、またウォーキングやランニングの楽しみが倍増することは言うまでもありません。足を鍛えるエクササイズをする、しゃがむ、ジャンプするなどの細分化したトレーニングドリルを行いましょう。同時に幅広で薄くて柔らかい靴を履いて、歩いたり走ったりすることで、より自然で効率的な体の動作が可能になります。これは、まっすぐ上に伸びた姿勢で、ストライドは小さく、足は体の真下で着地させることです。これにより、オーバープロネーションやスピネーションの問題を軽減することができるはずです。注意事項は、集中して自分の体の声に耳を澄ますこと。少しずつ、慎重にアクティビティの負荷をあげていくようにしてください。

結論

オーバープロネーションは、適切なトレーニングで足を強くし、アライメントも調整された状態に改善できます。オーバースピネーションした硬い足でも、その可動域を広げ、衝撃も吸収できるようになります。幅広の薄くて柔らかい靴を履くこと、そしてつま先トレーニングや片足バランス立ち、しゃがむ、カーフレイズなどのエキササイズを行うことで、足首と足の可動域と強度が改善されます。大切なのは、モーションコントロールやスタビライザーつきの靴、特注インソールなどは、機能不全に陥っている足を改善するものではなく、あくまで痛みや不快感を取り除く対処療法に過ぎないということです。ほとんどの場合、正しく機能しない足というのは筋肉のバランスが取れていないことが原因です。足を頑丈なモノで包み動かせないポジションに固定することは、問題を自然に治そうとする体の反応を妨げ、足のバランスを悪化させてしまうのです。

現在すでに継続する痛みや不快感の自覚があれば、まず専門医に相談してください。まれに靴の選択が原因ではない場合もあります。慢性的な足の故障に対しては、的確な診断がなにより不可欠です。

元の記事:
https://www.vivobarefoot.com/rw/blog/february-2020/what-is-pronation-overpronation-supination

1. The effect of three different levels of footwear stability on pain outcomes in women runners: a randomised control trial

Michael B Ryan,1 Gordon A Valiant,2 Kymberly McDonald,1 Jack E Taunton1 June 2010

Br J Sports Med 2011;45:715–721. doi:10.1136/bjsm.2009.069849

2. Running shoes and running injuries: mythbusting and a proposal for two new paradigms: ‘preferred movement path’ and ‘comfort filter’

Nigg BM, et al. Br J Sports Med 2015;0:1–6. doi:10.1136/bjsports-2015-095054

3. Metatarsus Atavicus

Dudley Joy Morton J Bone Joint Surg 1927;9:531

4.Rethinking the evolution of the human foot: insights from experimental research

Nicholas B. HolowkaDaniel E. Lieberman. Journal of Experimental Biology 2018 221: jeb174425 doi: 10.1242/jeb.174425 Published 6 September 2018

5. Effect of children’s shoes on gait: a systematic review and meta-analysis Caleb Wegener, Adrienne E Hunt, Benedicte Vanwanseele, Joshua Burns, Richard M Smith




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