こんにちは、Vivobarefoot SAPPOROスタッフのしーぽんです!
普段はランニングや近場の山を登るなど、身近なフィールドで身体を動かすことを楽しんでいます。
そんなわたしが今回、初めてのテント泊登山を通して感じたこと、そして自分自身の価値観に起きた変化について綴ります。
「みんなで山へ行こう。」
きっかけは、札幌店に滞在していたハマさん(Vivobarefoot Japanスタッフ)からの提案。
アウトドアモデルのシューズを実際のフィールドで試すこと、そして自然の中で一緒に遊ぶことが目的。
初めて、1泊2日のテント泊登山へ行くことに。
憧れていた山でのテント泊。わくわくが止まらない。
自然との距離
わたしは元々、運動や外で遊ぶのが好きで、20代はキャンプや登山にも出かけていた。
でもその後、コロナ禍になり、娘を出産し、育児が始まり、自然の中で過ごす時間は少しずつ遠ざかっていった。
それでも、その時その時で、暮らしの中でできることを楽しんでいた。
街を走るランニング。
家のリビングにマットを敷いてできるピラティス。
限られた時間の中でも、自分の身体と向き合える時間は大事だった。
どれも今の私を作ってくれた、大切な経験。
でも今回、初めて旭岳でテント泊をして、改めて思った。
「ああ、やっぱり自然の中で過ごすことが好きなんだ。」
そして、人間にとって自然の中にいること自体が、本来とても自然なことなんだ。
シューズの履き心地だけでなく、それ以上の気づきをくれた2日間だった。
山に行くと感覚がフル稼働
今回のメンバーは、ハマさん、札幌店のなおきくん、さやか、そして私の4人。
ハマさんは、札幌店に数か月滞在しており、仕事だけでなく、岩登りやボルダリング、野営など、自然の中で遊ぶ楽しさをたくさん教えてくれた。
なおきくんは、アメリカのロングトレイル「PCT(Pacific Crest Trail)」を歩いた経験を持つハイカーで、山での知識や経験が豊富。
私とさやかはテント泊が初めてだったので、初心者でも歩きやすいコースを選んでくれた。
旭岳は北海道最高峰、標高2,291m。
ロープウェイで一気に標高約1,600mまで上がる。
この日は雨予報。
ロープウェイのチケットを買う直前まで、
「雨の登山ほど過酷なものはない…。どうする?」
ごくり。
それでも「ここまで来たんだから行ってみよう」と、一か八かでスタート。

山はガスに包まれていたけれど、不思議なことに歩いている間は雨に降られず、ときどきガスが抜けて景色が開ける瞬間もあった。
視界を遮るものは何もなく、どこまでも広い景色が広がっていた。

普段、私たちの目が見ているのは、パソコンやスマートフォンの小さな画面ばかり。
でも旭岳では、自然と遠くを見ていた。
「目は本当はこんな景色を見るためにあるんだ。」
そんな感覚がふと湧いてきた。
しばらく歩いていると、ゴォーーッという地鳴りのような音が響く。
登山道の横を見ると、勢いよく噴煙が立ち上り、あたりには硫黄の匂いが漂っていた。

「地球の音がする。」
誰かが言った。なおき君だったかな。
目で見て、耳で聞いて、鼻で匂いを感じる。
地球も生きているんだ。
そんな当たり前のことを、身体全体で実感した。
地形をとらえる
旭岳の登山道は、地形の変化がとても豊かだ。
活火山らしいゴロゴロした石、砂混じりで滑りやすい斜面、木の根、赤土、そして雪渓。
今回履いたのはアウトドアモデルの定番、「TRACKER LEATHER AT」

正直、それまでハイカットブーツは食わず嫌いだった。重くて固い印象があったから。
でも実際に履いてみて、軽さと柔らかさに驚く。
足首までしっかり保護してくれるのに、動きを妨げる感覚はない。
全地形対応のATソールならではの安心感がありながら、地面の情報はしっかり足裏に伝わる。
今年は残雪が多く、雪渓がたくさん広がっている。

シャバシャバの雪はとても滑りやすかった。
でも、こういう場所では滑ることを身体で受け入れてしまった方が、かえって転びにくいことを地元の雪山で経験済み。

斜面を小走りしながら身体でバランスを取る感覚が楽しかった。
ブーツのおかげで足が濡れることもなく、最後まで快適に歩ききれた。
山を歩くだけじゃない、新しい遊び方
今回一緒に登ったハマさんは、岩を裸足で登るクライマーでもある。
最近は仕事後や休日に、岩登りやボルダリングジムに連れて行ってもらっていた。
だから今回の登山でも、ボルダーハントを兼ねてコンパクトなマットを装備しているハマさん。
普通なら素通りしてしまいそうな景色も、「登れそうな岩はないかな?」と探しながら歩く。
途中、ちょうどよさそうな岩を見つけると、
ハマさんは一瞬で少年に戻り、岩に向かって駆け出していく。笑

岩の高さは3mもないくらい。
ハマさんが靴を脱ぎ、裸足で軽々と登っていく姿を見て、みんな続けて挑戦してみる。
ただ力任せによじ登るわけではない。
自然がつくった岩のくぼみや出っ張りをよく観察して、「ここなら手がかかる」「ここなら足が乗る」と、自分の身体がフィットするポイントを探していく。

裸足だからこそ、足裏から伝わる岩の感触がよく分かるし、想像以上に天然のグリップが効く。
足の置き方や体重移動を少し変えるだけで、それまで登れなかった岩が急に登れるようになる。
その数メートルに、驚くほどのスリルと集中力があって、登り切った瞬間は思わず声が出るくらいうれしい。
裸足一つでこんなに遊べる。
同じ山でも、新しい遊び方、新しい視点。そんな世界を教えてもらえた。
ギアは使って、初めてわかる
裏旭の野営指定場について、テントを張る。

VIVOBAREFOOTで働き始めてから、山で遊ぶ人が周りに増えたので、
それまで遠い世界だった山道具が、急に身近なものになった。
正直、それまでは素材や軽さ、防水性などのスペックを聞いても、全然イメージがつかなかった。
でも実際に山で使ってみると、「あ、このための機能だったんだ。」と腑に落ちることばかり。
風向きや地形を見ながらテントを張る場所を決める。
ペグが刺さらない地面なら、そばにある大きな石に紐を括り付けたり、固定する。
ハマさんとなおき君は環境を見てその場で判断し、迷いなく設営していく。
わたしにはまだそんな知恵はほとんどない。
ギアは、ただの便利な道具ではない。
自然に合わせて快適に過ごすための知恵が詰まっている。
実際に使ってみて初めて、その面白さが少しずつわかってきた。
山で過ごす豊かさ
テントを張ってからは、みんなで夕食作り。
山に慣れているなおき君は、
「普段はフリーズドライや缶詰で済ませることが多いよ。」
と話していた。
わかる。経験を積むほど、余計なものは削ぎ落とされて、荷物は軽くなり、必要なものだけが残っていくんだよね。
大人になるってそういうこと。(?)
でもわたしは初めてのテント泊だから。
せっかくなら、料理する時間も、みんなで食べる時間も思い切り楽しみたかった。
白米を炊いて、ジンギスカンやせせりの焼肉、ズッキーニと長いもステーキ、卵スープ。
デザートには、さやかが作ってきてくれた、ビーツパウダー入りバナナブレッド。
最後は豆を挽いてコーヒーを淹れて。

山に囲まれながらみんなで食べる食事。全部が美味しい。
自然の中で料理をして、ゆっくり時間を過ごす。とても贅沢な時間に感じた。
寝る前はiPhoneに入っている過去のしょーもない写真を見せ合って笑って。
電波が届かない場所だからこそ、一緒にいる人との時間に自然と意識が向く。
そんな何気ない時間まで、とても豊かに感じた。
「身体を整える」から「自然の中で遊ぶ」へ
山では歩いて、岩に登って、ご飯を作って、笑って過ごした。
その「ただ遊んだだけ」の時間が、自分の身体との向き合い方を少し変えてくれた。

わたしは身体を動かすのが好きだから、
これまで10年近くランニングを続け、ピラティスも学んだ。
でも振り返ると、当時の私はずっと、
体力がない。
身体が硬い。
姿勢が悪い。
もっと頑張らなきゃ。
そんな風に、常に自分に課題を課しながら、
「身体を整えること」が目的の運動をしていた。
でも、山を歩いたり、クライミングに挑戦したり、
VIVOBAREFOOTの考え方に触れる中で、少しずつ価値観が変わってきた。
山では姿勢を意識しなくても、岩や木の根、傾斜に合わせて身体が自然と動き始める。
岩を登るときは夢中で岩に張り付き、日常では使わないような筋肉まで自然と使っている。目で見て、耳で聞いて、美味しいもの食べて、足裏で感じて。気づけば五感をフルに使っている。
「身体を整えよう」と頑張っているわけではない。
ただ自然の中で夢中になって遊んでいるだけなのに、結果として身体が本来の動きや感覚を取り戻していく。
そんな感覚が、とても心地よかった。
だから今は、「身体を整えること」を目的にするよりも
自然の中へ出て、思い切り遊ぶこと。
今はそんな考え方に、一番惹かれている。
Vivobarefootのミッションは、人と自然をもう一度つなぎ直すこと。
今回の旭岳で、その言葉の意味を、私は頭ではなく身体で少し理解できた気がしている。
これからもスタッフとして、そんな等身大の体験を伝えていきたい。
writer:Shiori Nagata(@vivobarefootsapporo)