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#017

#017

 

歩くことが、日々のリセットになる


017
吉田 幸平 × チョークボーイ|ヘンリーワーク
手描きとリズムで日常を彩る


 

 

 

「カフェのバイトで毎日黒板を描いていたら、どんどん楽しくなってきて気がついたら仕事になっていた」というチョークボーイさん。
彼が描く文字や絵は黒板を飛び出して、雑貨のデザインや店舗の装飾、ブランドロゴなど多岐にわたっています。

現在は「WHW!」(What a Hand-Written World! ーすばらしき手描きの世界!)という手描き結社を仲間と組んで活動し、神奈川県鎌倉市では「EENY BREAKFAST & SHOP」という朝食屋さんも営んでいます。

そして、グラフィックやアート、飲食店経営だけでなく、音楽活動も行う彼(音楽家としての名前は”ヘンリーワーク”)は時にドラマー、時に独創的な音楽家としての一面も。
+VIVO Episode 16でご紹介した料理開拓人の堀田 裕介さんとは、「EATBEAT!」という屋号で料理と音楽の融合を味わえるパフォーマンスもされています。

そんなチョークボーイさんがボロボロになるまで履き込んだプライマスライトⅢについて、話を伺いました。

 




INTERVIEW

 

この靴を履きはじめて1年ちょっと。
Vivoはすごく自分にフィットしていて、今では毎日の通勤に欠かせない存在になっています。

自宅からここ(EENY)まで、徒歩でちょうど30分くらい。行き帰りで1時間。ラジオを聴きながら歩く時間が、ちょうどリセットタイムになるんです。
ゆっくり歩くよりも、地面を感じながら少し速く歩くのが心地よくて。地面を掴む感覚があるから、推進力を感じるんです。自転車を漕いでるみたいな感覚ですね。そうやって履いてたらボロボロになっちゃった(笑)。

 


僕、この靴を履く前から自分の足の裏の感覚ってあったんだなと思って。
結構これ履く人って、最初の頃はどこかしら痛くなるというか。チューニング期間みたいなものがあるでしょ、きっと。普通の靴からこういうのにトランジションする時の。僕はそれが全くなくて、いきなり超フィットしたね。

なんでかな、って色々考えてみると。
僕はドラムをやっていて、足裏や足をよく使うんです。両足で違う動きをするから、足裏の細かな動きには昔から敏感だったんだと気づいて。
家だと裸足で叩いていることも多くて、落ちたスティックを足で拾ったりとかもするので。

 

 

あとは、もともと足袋型の靴下を愛用していたのもあるかもしれない。指が自由で、締めつけられない感覚に慣れてたんですよね。
だからすぐにVivoにもフィットしたのかもしれない。

今あるのはこの一足(プライマスライトⅢ)。ボロボロですが。アッパーだけでなくアウトソールも破けていますね。たくさん歩くので。
あとはキャンプ行った時に火の粉が飛んで破れちゃったり。でも、元々穴が空いているメッシュ構造だから、あまり気にしていません(笑)。

 

 

さすがにステージに立つ時は靴を履いて叩きます。
特に“ドラム用”の靴を決めているわけじゃなくて、その時履いている靴で叩いてるだけなんだけど、結果的にこれが多くなるんですよね。8割くらいの頻度でVivoを履いていますね。

逆にソールが厚い靴を履くと、最初は少しチューニングに時間がかかるかも。足とペダルの距離感が変わるから。でも、そこまで繊細に調整するタイプではないです(笑)。
足は、“叩く”というより“乗っている”感じなんですよ。足を置いて、バネのように返ってくるタイミングでまた踏む。その連続。

 

 

初めてVivoを履いた時、「最初はこういう筋肉が痛くなるかも」って言われたんですけど、全くなかった。普通に履けた。
そのとき気づいたんですよ、”あ、自分の足って意外と強かったんだ”って。感覚が蘇るような。失われてたというより、ただ“忘れてた”んだと思うんです。


文字や絵を描く時もVivoを履いてみたんですけど、何かが劇的に変わるというより、他の靴を履いたときに気づくことが多いですね。
ソールが厚めのスニーカーを履くと、確かにクッション性はあって楽なんだけど、横ぶれというか、体重を移動したときに“まっすぐ落ちない”感じがあるんです。地面に対してスライドして落ちちゃうような、少し不安定な感覚。しゃがんだり、脚立に乗って描いたりするときは、その“ズレ”がちょっと怖い。
一方で、Vivoを履いているときにはその不安がない。足の一点にしっかり体重を乗せられる感覚がある。


だから、Vivoを履いているときよりも、履いていないときに違いがわかるんです。裸足に近い靴だから、自然で、特別なことをしている感覚もない。でも、他の靴を履いたときに、初めて“あ、今までこうやってズレてたんだな”って気づく。

 


描く仕事を始めた当初は個人でやっていたけれど、活動を広げていく中で「チームで動きたい」と思うようになり、声をかけた仲間の多くが飲食業出身者だった。
クライアントにも飲食関係の方が多くて、仕事を通じて自然とその世界に詳しくなっていったんです。どんな規模のお店がどんな人数で回るのか、どうやってブランディングしていくのか…気づいたらノウハウがたまっていて、自分でもいつかやってみたいなと思うようになっていました。

そんな中、ある日、飲食経験のあるスタッフと出会い、プロジェクトが一気に動き出した。
最初は飲み屋をやろうと思っていたんです。僕お酒が好きなんで。でも、店長の山口が「夜遅くまで働くのは大変だから、朝型がいいです」って言って。それを聞いたときに“たしかに”と思った。僕らのグッズってポップで明るいし、朝のイメージと合うなと。そこから“朝ごはん屋さん”というアイデアにたどり着きました。

 

 

店名の「EENY」は、“Eeny, meeny, miny, moe”という英語の数え歌から。
うちのお客さんって、グッズを選ぶときにいつも迷っているんです。“どれにしようかな”って。だからこの言葉がぴったりだなと思って。
意味が重くないのもいい。朝のお店に“TRUTH”とか“REAL”とか付けたらしんどいじゃないですか(笑)。軽やかで、ポジティブな響きが気に入っています。

この場所は、観光客であふれる通りではなく、メインの大通りからも一本入った場所。ちょっと見つけづらいけど、もともとあった自分たちのアトリエからもすごく近くて。徒歩圏内、自転車圏内だから自分も顔を出しやすいんです。

 


高校卒業後に過ごしたロンドンで、普通のカフェなんだけれどもWi-Fiを使わせてくれるところがあって。
当時、ホームシックというわけではないけれども、寂しい気持ちもあって、よく彼女に電話したんですよ。そこのWi-Fiを借りて。そのカフェの兄ちゃんがいつも「また来たのか」みたいな顔をしつつも、コーヒー1杯で2、3時間ぐらい電話をさせてくれたんです。

その時に、”日本に帰ったらカフェの店員をやろう。恩返しをしよう”と思って。いつか僕みたいなやつが来たら、優しくしてやろうと思って。
そうやって帰国後に始めたのがカフェのアルバイトで、それが今にもつながっていますね。

 



FEATURED PRODUCT

 

PRIMUS LITE III

(現行モデルは PRIMUS LITE 3.5)

 

PROFILE

 

吉田 幸平(チョークボーイ)Kohei YOSHIDA “CHALKBOY”

@chalkboy.me

チョークグラフィックアーティスト、音楽家

1984年7月生まれ、大阪府出身。

大阪市立工芸高等学校ビジュアルデザイン、ロンドンのセントラル・セント・マーチンズ (Central Saint Martins)でアートを学ぶ。帰国後、アルバイト先のカフェで描いたメニューボードが評判となり、“チョークボーイ”としての活動をスタート。2015年に開催した個展をきっかけに全国的に知られるようになり、以後、企業広告や店舗のアートディレクションなど幅広い分野で活躍している。

また、音やリズムを用いた独自の表現活動にも取り組み、ビジュアルとサウンドを行き来しながら創作の幅を広げている。 


 

writer:Kyeonghwa HO



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