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STORY 02

STORY 02

保護犬との暮らしが教えてくれたこと

 

インタビュー/森FAMILYとハリィの物語

 

千葉県睦沢町で喫茶店『森 喫茶』を営む森さん一家は、保護犬や保護猫と暮らしています。保護団体『メロードッグレスキュー』や保護犬ハリィとの出会いから、どんな心境の変化があったのか。保護犬との暮らしで得た気づきや学びについて、森さん夫妻にお話を伺いました。 


 

人と犬が集う場所づくり

 

「地域の人たちが気軽にお茶しに来たり、コミュニケーションが取れる空間を作りたいという思いがあって、5年前に睦沢町に引っ越してきて喫茶店を開業しました。自家製酵母パンやケーキを焼いたり、コーヒーを提供しています。」

そんな思いから開業した『森 喫茶』はもちろん犬も大歓迎。犬優先のウッドデッキもあります。この5年で、すっかりご近所の愛犬家たちが集う憩いの場になりました。人も犬も遠慮せずに快適に過ごしてほしいという思いから、平日は店内で出張ドッグマッサージも行っているとか。

 

「人間と一緒に暮らしてるんだから、犬にだってそういう権利はあるでしょ?」

森さんは、日本でも犬と一緒に過ごせる公共の場を増やしていきたいと考えています。森 喫茶をオープンして以来、犬目線で考え、自分にできることをコツコツと続けてきたら、さまざまな犬や飼い主さんとの出会いに恵まれ、『C’MON C'MON(カモンカモン)』という保護犬支援のチャリティイベントの開催にもつながりました。

 

 

喪失を乗り越えて

 

「昔から動物がずっとそばにいる暮らしなんです。ハリィ以外にも猫のチャイとエルがいます。エルは結婚前から飼っていてもう17歳。浅草で拾いました。チャイは店の庭で生まれた4匹のうちの1匹で、3匹はすぐに引き取り手が見つかったものの、息子がどうしてもチャイだけ手放せず、うちで飼うことにしました。」

夫婦と子どもと1匹の犬と2匹の猫。日々の賑やかな暮らしが垣間見えます。そんな森ファミリーでも、保護犬を迎え入れるには、過去の大きな喪失を乗り越えるという別の覚悟も必要でした。

 

「実は、前にも『あさ』という名の保護犬を飼っていたことがあるんです。1歳で家族になった後、先天性の脳の疾患が原因で、わずか8ヶ月で亡くなってしまって。もう立ち直れないほどショックでした。でも犬と暮らす友人の姿を見て、やっぱりまた犬と暮らしたい、と思い始めて。」

生きもの同士が共に暮らすということは、リアルに命と向き合うということ。否が応でも自然の摂理である死が日常に入り込んできます。森さんは、腕の中で先住犬の『あさ』を看取ったときも、そのすべてのプロセスを通じて、本当の意味での愛情を理解できた気がすると言います。深い悲しみを経験するからこそ、深い愛情を自覚する。その愛情をまた新しい家族に注ぎたいと思うのは、自然な選択肢だったのかもしれません。

 

  

保護団体メロードッグレスキューとの出会い

 

大きな喪失を経験してもなお、犬と共に暮すことを諦めなかった森さん一家。いま一緒に暮らすハリィは、埼玉県越谷市にある犬の保護団体『メロードッグレスキュー』からお迎えしました。

「メローさんの活動はインスタグラムで知っていました。ドッグランもあるし、犬がのびのびと好きに暮らしてる。保護犬がずっとケージの中だったり、外で鎖に繋がれたままだったりする他の団体とは違うなと思っていました。」

 

メロードッグレスキューは、「犬が犬らしく生きる権利と生活の質を守る」ことをモットーに、保護頭数に上限を設け、専門知識のあるスタッフが里親に譲渡するまでのケアと準備を行っています。広い芝生のドッグランはもちろん、犬の群れる習性と欲求を満たすために、みんなでパックウォーク(群れで散歩)に出かけるなど、「ただ犬の命を永らえる」だけではない保護活動を積極的に行っています。

 

森さんは、そんなメロードッグレスキューのスタッフの生き様にも大きな刺激を受けたといいます。 

「特に代表の美織さんには、お金に替えられない尊い活動をしていることにただ脱帽するばかり。それに比べて、自分は何ができているんだろう?って自問し始めたんですよね」

森さんの自問は、後述の『C’MON C’MON』主催へとつながります。

 

  

保護犬ハリィを迎えるまで

 

「ハリィもインスタグラムで見て、ほとんど一目惚れだったんですけど、亡くなった『あさ』に似すぎていて最初は抵抗がありました。あさを思い出して、辛くなるんじゃないかって。それでもハリィはそんな不安をかき消すほど、すごく可愛くて。」

ハリィは、メロードッグレスキューが保護した元野犬。当然人を強く警戒していました。

 

「ハリィに初めて会った時は、ずいぶん距離を取ってすごい震えていて、正直、大丈夫かな?って思いました。それでも息子の伽椰だけはその日にハリィに触れることができたんですよね。それでなんとかいけるかもって希望を持って。」

森さん夫妻は時間をかけて、ハリィの準備ができるのを辛抱強く待ちました。やがてハリィの表情にも変化が出てきます。

 

「家にお迎えするまでは、毎週メロードッグに通ったり、散歩練習をしたり、美織さんからハリィとの接し方を教わったりして、徐々に距離を縮めていきました。ハリィと暮らして1年が経ちますが、まだ彼が私たちを完全に認識しているかは正直分からない。でも、その徐々に家族になっていく過程もたまらなく愛おしいんです。」

対人ならせっかちになるか、諦めてしまいそうなプロセスを、犬となら相手のペースを尊重できるようになり、辛抱強くなれる。言葉が通じない者同士がじっくりと信頼関係を築いていく喜びや、小さな変化に幸せを感じられる日々に、犬と暮らす日々の豊かさを感じます。

 

動物とのボーダーレスな関係
生きもの同士の深い絆

 

 

ペットショップでの生体販売が当然の日本。これの是非についての論争はつきないものの、大切なのは犬目線で人が犬を正しく理解し、犬の個性を尊重することだと森さんは言います。

「保護犬のおかげで自分も成長させてもらったと思っています。この観察眼は対人間の関係にも応用できるんですよ。例えば、相手が緊張していそうだな、機嫌悪そうだな、と思ったら無理に近づかない、とかね。」

思えば、人も本来群れで生活する動物。コミュニケーションは主にオンラインで行う現代人たちの希薄な人間関係において、こういったヒトとしての本能的な判断は鈍っているのかもしれません。

 

  

保護犬支援チャリティイベント「C'MON C'MON」

 

保護団体メロードッグレスキューの活動資金を集めるために、森さんの提案で始まったチャリティイベント『C'MON C'MON』。単なる活動資金調達イベントではなく、森喫茶のコンセプトと同じく「犬と愛犬家が、楽しく過ごせる場所を作りたい」という思いをベースに森喫茶で開催を重ね、2024年11月に第3回目を迎えます。主催者の森さんから来場者へのメッセージを伺いました。

「もっと多くの人に、メロードッグレスキューさんの活動を知ってほしい。家族を待っている保護犬はたくさんいる。そして、たとえ家で飼うことができなくても、他にも力になれることはあるんだよっていうことを伝えたいですね。」

 

writer:Yuka Y


Vivobarefootも参加する『C'MON C’MON vol.3 』は、11月16日(土)開催です。私たちも犬の保護活動を継続的に支援していきます。ぜひ皆さまのご来場お待ちしています。




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VIVOBAREFOOT JAPANアンバサダーでモデルの新田あいさん。女性目線のアウトドアブランドも手掛けながら、元野犬の保護犬「ごまめくん」との日常もSNSで発信し、犬好きであることでも知られています。 物心ついた頃から犬と暮らし、犬がいる生活が当たり前だったという新田さんに、保護犬に対する思いやごまめくんとの暮らしについてお話を伺いました。

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