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STORY 02

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保護犬と見つけた豊かな暮らし

 

インタビュー/新田あい と ごまめの物語

 

VIVOBAREFOOT JAPANアンバサダーでモデルの新田あいさん。女性目線のアウトドアブランドも手掛けながら、元野犬の保護犬「ごまめくん」との日常もSNSで発信し、犬好きであることでも知られています。 物心ついた頃から犬と暮らし、犬がいる生活が当たり前だったという新田さんに、保護犬に対する思いやごまめくんとの暮らしについてお話を伺いました。

 

元野犬の「ごまめくん」との出会い

 

「わんこをお迎えするなら保護犬がいいと思っていたんです。なぜそう思ったのかは正直覚えていないぐらい、私にとってはごく自然なことでした。」

ペットショップで犬種と子犬であることを基準に犬を選ぶ飼い主が多い中、新田さんには当初からその選択肢はなかったとのこと。そして保護犬を迎えるにあたって、保護犬にまつわる現況をいろいろ調べてみたそうです。

「実は犬の保護にもいろいろあって、繁殖引退犬や飼い主が飼育困難になり手放すケースだったり。その中で、神戸で野犬の保護活動をしている団体さんを知ったんです。地元神戸にそんなに野犬がいることも知らなくて、まずびっくりしました。」 

人口150万人近い都会の神戸に野犬が多いことはあまり知られていません。日本では狂犬病予防法に基づき、野犬は積極的に捕獲され、原則として殺処分の対象となります。猫のように去勢・避妊手術の後に地域猫として解放する『TNR』は法律で認められていないのです。このような殺処分対象となり得る野犬たちを捕獲し、里親へとつないでいる団体が、『神戸アニマルレスキュー PINKY』でした。 そして、ちょうど新田家で犬をお迎えする準備が整ったとき、同団体のインスタグラムに「ごまめくん」の里親募集が掲載されます。

「夫も私も一目惚れでした。写真を見て、この子をめがけてすぐに会いに行きました。PINKYさんはかなりしっかりした保護団体で、事前に私もいろいろ調べた上で、犬をお迎えするならここって決めていたんです。」

 

  

引き渡す責任と引き受ける責任

 

「PINKYさんからは、譲渡前にも家の写真を送ってくださいとか、脱走防止柵や危険箇所の確認のために、スタッフの方が家まで訪問してくださったりとか。正式譲渡の前にトライアル期間もありました。」

保護犬の場合、家に犬を迎え入れるまでの行程が、ペットショップやブリーダーから購入する場合とはまったく異なります。もともと不幸な環境から救出された犬たちへの不幸を再び繰り返さないために、家族構成や生活環境まで入念な事前チェックが行われます。

「保護犬譲渡はこうした基準が厳しいって言う人もいるんですけど、犬と人が一緒に暮らすなら当然のことだと思うんです。」と新田さんもこの方針に賛同しています。

 

 

本当の家族になるまで

 

ごまめくんは今年の8月で推定2歳。生後およそ2ヶ月を過ぎた頃に山で保護されたそうです。

「野犬のまま生後2ヶ月を過ぎてしまうと、すごく警戒心の強い子になってしまうと聞きました。ごまめは2ヶ月をちょっと過ぎたときに保護されたから、今もめちゃめちゃビビリなんだと思います。」

新田さんはごまめくんと出会った当初を懐かしく振り返ります。

「運動神経もいいから、バリケードをよじ登って逃げようとするし。それでも絶対にこの子がいいって思ったから、最初からメロメロだったかも。」

 

家に迎え入れてからもしばらくは、ごまめくんは新田さん夫妻から距離を取って、遠くからじっと観察していたそう。

「少しずつ戯れて遊ぶようになり、1週間ほど経った頃から『おいで』と言ったら来てくれるようになって。それだけで感動して泣いちゃう(笑)。そうして、少しずつ私たちを信頼してくれるようになって、1年半経った今はすごく信頼してくれてるな、と感じます。」

警戒心が全幅の信頼に変わるまでの時間でさえも、かけがえのない大切な家族の思い出です。

 

 

犬と人の共生と責任

 

「元野犬は怖いとか大変そう、と思われがちですが、全然!めちゃめちゃ優しくていい子。野犬はきれい好きで賢い子も多くて、家の中でも粗相が少ないんです。」 

保護団体は、里親に譲渡するまで人と共存するためにさまざまなトレーニングを行います。新田さんも、まず元野犬に対する固定概念を払拭したいと言い、同時に飼い主の責任についても言及します。 

「ビビリだから脱走する恐れもあるので、ダブルリード(紐を2本装着)でしっかり対策しています。リードは手前の首輪ではなくて二本目の首輪につけるんです。そうすると、急に引っ張られても首輪が引っこ抜けない。さらにお守りとして、この下にチェーンの首輪もゆるく装着しています。」 

 

 

「ごまめくん」と描く未来

 

元野犬の里親になるという選択をした新田さんには、人間主体ではなくまず犬を幸せにしたいという思いがありました。

「ペットに癒やされるのではなくて、私たちがこの子たちを癒やしてあげるんだという気持ちでいます。保護犬は大変な幼少期を過ごしている子たちが多いから、そういう子に光が当たるといいなと思っています。私たちもこの子をお迎えしてから毎日が楽しいんです。」

家族になるまで、そして家族になってから。これからも積み重ねていくごまめくんとの日々の暮らしにどんな希望を抱いているのでしょうか。 

「ごまめは山で生まれたので、山や自然が大好きなんです。私も夫も自然が大好き。私たちの家も自然の中にあるから、ごまめと一緒に今の暮らしを続けていけたらと思っています。ごまめは六甲最高峰にも登っています!山登りが好きな人なら、わんこと一緒に行きたい山、という選択があってもいい。犬と一緒なら、さらに豊かな時間を過ごせるようになると思います。」

今の暮らしが豊かで幸せ。ごまめくんと過ごす何気ない日常を愛おしく思う新田さんの生活が垣間見えるようです。

 

 

保護犬活動への想い

 

犬の保護活動にはまだまだ多くの課題があります。新田さんへのインタビューを通じて、人間のエゴで厳しい環境に置かれている犬たちを、人間社会の罪悪感からお迎えするのではなく、犬と一緒に暮らす楽しさや幸せが、その動機になることも大切だと感じました。 

「Vivobarefootが『メロードッグレスキュー』さんと出会ったって聞いたときは、本当に嬉しかった。Vivo愛用者は自然や動物に優しい人が多いから、そういう方たちにもっと保護犬の現状が伝わって、一人でも多く、一匹でも多く、一緒に暮らして幸せになってくれたらと願っています。元野犬でも、人間の良いパートナーになれるということを、もっと多くの人に知ってほしいです。」

 

今後、保護犬の里親になるという選択肢が当たり前になる世界を、Vivobarefootチームも願っています。

 

writer:Yuka Y


11月16日(土)開催 『C'MON C'MON vol.3』は新田あいさんもご来場予定です。午後には座談会も予定しています。一緒に犬について語り合いましょう。ぜひお気軽にご来場ください。




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