野犬を中心とした保護・譲渡活動を続けながら、日々、犬たちと向き合っている髙橋美織さん。
Vivobarefoot Japanアンバサダーでもある髙橋さんが今回体験したのは、自分の足を3Dスキャンし、そのデータをもとに、一人ひとりの足に合わせてつくられるVivoBiome "Tabi Gen 02”です。
実際に履いて歩く中で感じたのは、足裏から伝わる地面の感覚や、犬の散歩など日常の中での使いやすさ。最初は鼻緒部分に痛みを感じたものの、少しずつ足に馴染んでいき、今では毎日の散歩やお出かけに欠かせない存在になっているそうです。
今回は、"Tabi Gen 02”を実際に履いて感じたことから、犬たちとの暮らしや保護活動、日々のもの選びについて、髙橋さんにお話を伺いました。

VivoBiomeの3Dスキャンで、まず印象に残ったのは、自分の足を実際にデータとして見るということでした。
「私の足って結構ペラペラなんです。甲も低くて。今までサンダルとかを履いているときに、指が長いからはみ出すことも多くて。自分の足が変なのかな?って思ったりすることもありました」
そんなふうに感じていた足でしたが、スキャンをしてみると、たしかに平均より薄く、甲も低い形でありながら、土踏まずもしっかりあり、きちんと機能していることがわかりました。
「薄いんだけど、ちゃんと機能してるから大丈夫ですよって担当スタッフさんに言ってもらえて、ちょっと自信が持てました」
これまでなんとなく「こうなのかな」と思っていた自分の身体の特徴が、データとして見える。それによって、自分の足をそのまま受け止められるようになったといいます。

実際に "Tabi Gen 02”を履いて歩くと、地面から伝わってくる感覚も印象的だったそうです。
「街歩きのときでも、砂利の上だったりとか、地面をダイレクトに感じるので面白いなと思います」
雨の日や滑りやすい場所でも、自分の足で踏ん張る感覚がある。
髙橋さんにとって "Tabi Gen 02”は、単に「足に合う靴」というだけではなく、自分の足がどう動いているのかを意識するきっかけにもなっていました。
髙橋さんが日々向き合っている犬たちにも、一頭一頭、それぞれの性格や身体、置かれてきた環境があります。
保護活動を続ける中で、髙橋さんが強く感じるようになったのが、「人間が良いと思うこと」と「その犬にとって良いこと」は、必ずしも同じではないということでした。

以前、問題行動を起こすと言われていた犬が、環境や関わる人が変わることで大きく変化していく姿を見てきた経験も、その考えにつながっています。
「この行動って全部、人間や環境が引き起こしたものだったんだ、って。犬にとっては、別に問題行動じゃなかったりもする。人と暮らす上で問題になるっていうだけで、犬にとっては自然な行動なわけだから」
犬と人間が一緒に暮らす以上、人間が環境をつくることになります。
だからこそ、「人間にとって都合がいいか」だけではなく、その犬がその犬らしく、安心して過ごせる環境になっているかを考える必要があります。
「飼うことを選んでいるのは人間だから。飼われている中で最大限、その子がその子らしく楽しめる環境を用意してあげたい」
その言葉からは、目の前にいる相手をよく見て、その相手にとって何が必要なのかを考える、髙橋さんの姿勢が伝わってきます。
保護活動では、「あの犬がかわいそうだから助けてほしい」と相談を受けることも少なくありません。
けれど、髙橋さんは「助けたい」という気持ちだけで行動することの難しさも話します。
「自分にやれることには限りがある。その中で、犬にとってより良くなることを考える」
保護する頭数を制限することも、そのための大切な選択です。
新しく保護した犬から感染症が持ち込まれれば、すでに保護している犬たちに影響が出ることもあります。
「助けたいっていう気持ちは、優しい心から来るものだと思うんですけど、それだけでは危ないこともある。紙一重だと思います」
たくさんの命を救いたい。でも、自分たちにできることには限りがある。
その現実の中で、今いる犬たちにとって何が良いのかを考えながら、できることを選んでいく。
保護活動には、気持ちだけで判断するのではなく、その先にあることまで考えた上で選択するという責任が常に伴います。

保護活動では、犬たちの過去や病気など、つらいストーリーが注目を集めることがあります。
もちろん、それによって人の心が動き、保護犬を知るきっかけになることもあります。
一方で髙橋さんが伝えたいのは、「かわいそうだから迎える」ということだけではありません。
「かわいそうな子を迎えたいと思って迎えてほしいわけじゃない」
大切なのは、今その犬がどんな環境で過ごしていて、これからどんな暮らしができるのかを知ってもらうこと。
「ちゃんと希望を持てるような活動をしていくっていうのも大事だなと思っていて」
過去だけを見るのではなく、その先にある暮らしにも目を向ける。
それは、犬たちを知ることと同時に、一緒に暮らしていく未来を考えることでもあります。

髙橋さんは、日々使うものを選ぶとき、素材だけでなく、その背景にも目を向けています。
どんな素材が使われているのか。そして、その素材に関わる動物たちが、どのような扱いを受けているのか。
Vivobarefootについても、動物性素材を使ったモデルがある一方で、その素材がどこで、どのように育てられたものなのかを伝えたり、リサイクル素材やヴィーガン仕様のモデルを展開したりしている点に共感しているといいます。
「どんな素材が使われて、どういうふうにつくられているのか。私は動物性素材の利用は極力避けたいという立場で、実際に、動物性素材を使っていないモデルを選んでいます。だからこそ、その素材がどこから来て、どのようにつくられているのかを知ること、つまりトレーサビリティって、エシカルな消費を考えるうえですごく大事な一歩だと思うんです」
「そういう企業を応援したいし、選んでいきたい」
こうした考え方は、犬たちとの向き合い方にも通じています。
犬も、見た目や犬種のような表面的な情報だけで判断するのではなく、その子自身を見てほしい。
何かを選ぶときも、目に見える部分だけで決めるのではなく、その背景や、自分にとって本当に必要なものなのかまで考えてみる。
髙橋さんにとって、ものを選ぶことは、自分が大切にしたい価値観を日々の暮らしの中で選び取っていくことなのかもしれません。

必要なものを、必要なときに、必要な分だけ。
髙橋さんは、ものを選ぶときにも「長く使えるか」「本当に必要なのか」をよく考えているそうです。
保護活動で使うものについても、見た目の良さや、素材や企業の背景だけでは十分ではないこともあります。犬たちが実際に使うものだからこそ、品質や耐久性も大切です。
「品質が良くなかったら使えない。うちの犬たちのパワフルさでは、使えないこともある」


それぞれの身体や暮らしに必要なものは、必ずしもみんな同じではありません。
VivoBiomeも、そうした「自分に合うもの」を考える一つの方法です。
一般的なサイズの中から自分に合うものを探すのではなく、自分の足を3Dスキャンし、そのデータをもとに自分のための一足をつくる。
髙橋さんが自分の足を見て、「こういう形なんだ」と受け入れられたことも、VivoBiomeだからこそ生まれた体験でした。
犬たちや環境のことを考えながら活動を続けている髙橋さんですが、その活動は決して一人で成り立っているものではありません。
ケガをしたときに支えてもらったり、日々の活動の中で周りの人に助けてもらったり。たくさんの人とのつながりが、活動を続けるうえで大きな支えになっているといいます。
「本当に人に恵まれていて。私自身、周りの人にすごいお世話してもらっていますね(笑)」
「そうやってたくさんの人に気にかけてもらったり、お世話してもらったりとか、サポートがあるからこそこの活動を継続できていて。それが私のウェルネスにもつながっています」

VivoBiomeを通して、自分の足の形や特徴を知った髙橋さん。
それは、自分の身体について、あらためて目を向ける機会でもありました。
自分の身体はどうなっているのか。何が自分にとって心地よいのか。
普段はあまり意識しないことにも、少し目を向けてみる。
犬にとって何が良いのか。
自分にとって何が必要なのか。
どんなものを選びたいのか。
髙橋さんの話を聞いていると、どれもすぐに答えが出るものではありません。
だからこそ、相手や自分のことを知り、考えながら、そのときどきで選んでいく。
自分にとって心地よい選択も、そんな小さな積み重ねの中から生まれていくのかもしれません。


photographer : Sho Masuda
writer : Kyeonghwa Ho
Vivobarefoot Japanアンバサダー・サーファーの石川拳大さんがVivoBiome “Tabi Gen 02”を体験。自分の足を3Dスキャンし、身体を起点につくられた一足を通して感じたのは、足本来の感覚や道具との関係、そして自身が大切にする「原点回帰」でした。最新テクノロジーを使いながら、身体が本来持つ力へと立ち返る。石川さんの言葉から、VivoBiomeが描くこれからのものづくりと、身体との新しい関係を探ります。